プロヴァンス旅行のハイライトは、アルル(Arles)とアヴィニョン(Avignon)。どちらも南仏のイメージにぴったりくる可愛らしい町でした。世界遺産にも登録されています。
まずこちらはアルルの町。マルセイユから列車に揺られること1時間弱、ゆっくりと流れるローヌ川のほとりにある小さな町です。赤色の屋根と少し褐色を帯びた白壁を持つ、おもちゃのような家が立ち並んでいて、いかにも絵画的。ローマ遺跡が多いのも特徴で、それらだけを見ているとここは本当にプロヴァンスなのかとつい思ってしまいそうになります。
そんなアルルの代表的なローマ遺跡、古代劇場です。紀元前1世紀に建設され、もはや大理石の柱も数本しか残っていませんが、夏になると2000年以上経った今でもコンサートやオペラの会場として利用されているそうです。左奥には、中世ロマネスク様式の教会の塔も見えています。
ところで、アルルといえばゴッホを連想する人も多いと思いますが、残念ながらこの町には彼の絵は1枚も残されていません。「夜のカフェ」のモチーフになったカフェだけは今も黄色のその姿を留めていますが、有名な跳ね橋は最近になって復元されたものであったりと、観光客向けの「作られた」匂いがどこか感じられてしまうのでした。
かわってこちらはアヴィニョンの町。アルルから鉄道で北に30分ほど行ったところにあります。「法王のバビロン捕囚」として世界史の教科書に登場する古都ですが、アルル同様今ではローヌ川のほとりにひっそりとたたずんでいます。とても美しい町でした。
13世紀初頭、国王権力に屈する形でここアヴィニョンに留まることを余儀なくされたローマ法王。以降68年に渡って合計7人の法王がこの地において即位することになるのですが、その法王の住まいとなったのがこの法王庁宮殿です。町の中心にずっしりと座し、その重量感は在りし日の威厳を今に伝えるかのようでした。宮殿というよりも、要塞という言葉がしっくりときます。華やかなバチカンのサン・ピエトロ寺院とは全く趣を異にしているのでした。
アヴィニョンのシンボルとなっているのは、このサン・ベネゼ橋、通称アヴィニョン橋。「アヴィニョンの橋で踊ろよ、踊ろよ・・・」という歌があまりにも有名です。造られた12世紀当時はちゃんと向こう岸まで掛かっていたそうですが、ローヌ川の度重なる氾濫によてって今では途中までで途切れてしまっています。たしかに思わず小躍りしたくなるような愛らしいデザインの橋でした。
さて、プロヴァンス旅行記は、これにて終了です。特にアルルとアヴィニョンは可愛らしく、ゆっくりと過ごすには素晴らしい町なのだろうと思いましたが、如何せん僕が訪ねた3日間は寒すぎました。写真を撮るためにカメラを構える手が瞬時にかじかむ程だったのです。旅行を楽しむには、気候も大切ですね。もしまたプロヴァンスを訪ねるなら、次回は絶対に暖かい時に!